コロナウィルス流行はいつ収束?基本再生産数から考えてみよう

新型コロナウィルスの影響は絶大ですね。
新型コロナウィルスをきっかけに、株価はリーマンショックの再来か、と言われるほど下落してますし、
子供がいる親としては遊びに行く先も制限されるし、早く終息してほしいと願うばかりです。

さて、今日は新型コロナウィルスの流行はいつ収束に向かうかを基本再生産数から考えてみようと思います。

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基本再生産数とは

基本再生産数は\(R_0\)とも表記され、ある一人の感染者が、その感染症の免疫を全く持たない未感染者の集団に入った時、何人の未感染者に伝染させるかの目安です。英語ではアール・ノート(R naught)と呼ばれます。その病原体の感染力の指標として報告されます。

その値が1より大きければ感染症は流行し、1より小さければ感染症は流行せずいずれ収束すると言われています。

もちろん、この値は状況によっても大きく変わります。
例えば換気の悪い空間に多数の人数がいる場合には数倍に上昇すると考えられます。例えば、ダイアモンドプリンセス号における発生当初の\(R_0\)は、14.8であったと推定する報告もあります。

気にある新型コロナウィルス感染症ですが、WHO(世界保健機関)によると基本再生産数\(R_0\)値は、1.4から2.5程度と推定されています。
インフルエンザは1から2程度とされているため、新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりもやや高いですね。

代表的な感染症の基本再生産数

感染症基本再生産数
麻疹 Measles12-18
ジフテリア Diphtheria6-7
天然痘 Smallpox5-7
ポリオ Polio5-7
風疹 Rubella6-7
流行性耳下腺炎 Mumps4-7
季節性インフルエンザ2-3
H1N1インフルエンザ1.4-1.6

感染症と集団免疫の関係

感染症の拡大予防には「集団免疫」が重要とされています。
これは集団内に免疫を獲得した人が多ければ、感染症が流行しにくくなる、と基本的な考え方に基づいています。
この考えから、1人の感染者から平均して直接感染する人数\(n\)は、免疫獲得者の割合\(p\)と\(R_0\)を用いて次式で表すことができます。

$$n=R_0 \times (1-p)$$

具体的に、ある集団で\(R_0=3\)の新たな感染症を考えてみます。
当然、新たな感染症なので、その集団では誰も感染したことはありません。そのため、\(p=0\)です。
そこに外部から感染者が入ったとすると、\(n\)はどうなるでしょうか。
式に当てはめると、R0値がそのまま直接感染する人数を表し、\(n=3\)となります。

次に、集団の\(\frac{1}{3}\)の人が免疫を獲得していた場合、すなわち\(p=\frac{1}{3}\)ではどうでしょうか。
式に当てはめると、\(n=2\)となり、1人の感染者から平均して3人が直接感染していたところを、平均して2人に抑えることができると考えられます。
同様に、\(p=\frac{2}{3}\)の場合は、\(n=1\)となり、直接感染する人を平均して1人に抑えられます。
ということは、もし、集団の\(\frac{2}{3}\)以上の人が免疫を獲得していれば、\(n \lt 1\)となり、感染拡大を防ぐことができます。

以上から、\(n \lt 1\)とするために必要な免疫獲得者の割合は以下で表されます。
$$n \lt 1 \\
R_0 \times (1-p) \lt 1 \\
(1-p) \lt \frac{1}{R_0} \\
p \gt 1-\frac{1}{R_0}$$

つまり、免疫を獲得している人の割合\(p\)を、\(1-\frac{1}{R_0}\)よりも大きくすれば、集団免疫が作用して感染症は収束するというわけですね。
グラフにするととこんな感じです。

新型コロナウィルス感染症は6割が免疫獲得すれば収束に向かう

仮に\(R_0=2.5\)だとすると、収束させるために必要な免疫獲得者の割合は60%です。
したがって、6割の人が免疫獲得者となれば、コロナウィルスは収束に向かうと考えられます。

注意!

年齢や性別による違いや、感染した人がそのままマスクも着用せずにスポーツジムに通う可能性などを考慮していないのでご注意ください。

まとめ

ワクチンがない現状においては、6割の人が感染既往になれば収束に向かうということです。
自分がその6割に入らないよう、しっかりと手洗いうがいをして予防しましょう。

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